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記憶と目撃証言

見慣れない集団の顔は見分けにくいのはなぜか。「他人種効果」は生まれつきではなく経験で変わる

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A scene captured in motion, where the silhouettes seem to dissolve into time. The blur transforms the crowd and light into a sensation of sp
Photo: Yahiaoui mourad / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

「外国の俳優の顔が見分けにくい」と感じたことはありませんか。これは誰にでも起きる知覚のくせで、研究では「他人種効果」と呼ばれます。目撃証言では、このくせが見間違いにつながることがあります。どこから来るのでしょうか。

SUMMARY

  1. 39の論文・91のサンプル・約5,000人を分析したメタ分析では、見慣れた集団の顔は正しく思い出されやすく、見ていない顔を「見た」と答える誤りも少なかった。
  2. 生後3か月の乳児はどの集団の顔も見分けられたが、9か月になると、ふだん見ている集団の顔だけを見分けるようになった。
  3. 3〜9歳で欧州の家庭の養子になった韓国生まれの大人は、育った環境の顔の方を見分けやすく、韓国で育った人と逆の傾向を示した。

01どんな心の仕組みが働いているのか

顔を見分ける力は、ふだん見ている顔に合わせて磨かれます。そのため、なじみの少ない顔では細かな違いに気づきにくくなります。

私たちは毎日見る顔から、どこに違いが出やすいかを学んでいます。これを知覚学習(経験で見る力が育つこと)と呼びます。

見慣れない集団の顔では、この学習が足りません。そのため「みんな似て見える」と感じやすくなります。これは相手の集団の特徴ではなく、見る側の経験の量によるものです。

02研究でわかっていること

差は生まれつきではなく、経験で作られます。乳児期に現れ、子ども時代の環境が変われば入れ替わることもあります。

約5,000人メタ分析に含まれた参加者(39論文・91サンプル、2001年)
9か月ふだん見る集団の顔だけを見分けるようになった乳児の月齢(2007年)
3〜9歳養子として育つ環境が変わり、差が逆転した人たちの年齢(2005年)

Meissner・Brigham(2001)[1]

30年分の研究から、39の論文・91のサンプル・約5,000人のデータをまとめたメタ分析。見慣れた集団の顔は、正しく「見た」と答える率が高く、見ていない顔を「見た」と答える誤りが少なかった。見慣れない顔ではその逆で、見間違いが増えることを意味する。研究者は、知覚学習の違いが関わると論じた。

対象: 実験室の顔の記憶課題 / 限界: 写真を覚える実験が中心で、実際の事件とは条件が違う。

Kellyら(2007)[2]

白人の乳児に、自分の集団を含む4つの集団の顔を見せた。生後3か月ではすべての集団の顔を見分けられた。6か月では2つの集団に、9か月では自分の周りの集団の顔だけに絞られた。研究者は、乳児期に見る顔がその後の見分ける力を形づくると考えている。

対象: 生後3・6・9か月の乳児 / 限界: 白人の乳児だけを調べている。

Sangrigoliら(2005)[3]

3〜9歳で欧州の家庭の養子になった韓国生まれの大人に、欧州系とアジア系の顔の記憶課題を行った。結果はフランス人の比較群とまったく同じで、欧州系の顔の方をよく見分けた。韓国で育った比較群は逆の傾向だった。子ども時代の経験で差が入れ替わることを示している。

対象: 養子の大人と2つの比較群 / 限界: 大人になってからの経験の効果は、この研究ではわからない。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「あの集団の人は顔が似ている」のではありません。見る側の経験が少ないと、誰でも見分けにくくなるのです。

MYTH / 思い込みある集団の人たちは、実際に顔が似ている。
FACT / 研究では差は見る側に生じます。韓国で育った人と欧州で育った人では、見分けやすい顔が逆になりました。
MYTH / 思い込み顔の見分けやすさは生まれつき決まっている。
FACT / 研究では生後3か月ではどの顔も見分けられました。差は経験の中で9か月ごろまでに生まれます。
MYTH / 思い込み自信を持って覚えた顔なら、相手が誰でも正確だ。
FACT / 研究では見慣れない集団の顔では、見ていない顔を「見た」と答える誤りが増えます。

04日常で生かせる視点

「見分けにくい」のは自分の経験の偏りだと知るだけで、決めつけを一歩手前で止められます。

05よくある質問

他人種効果とは何ですか

なじみの薄い集団の顔を、なじみのある集団の顔より見分けにくく、覚えにくい傾向です。誰にでも起きる知覚のくせです。

なぜ見慣れない顔は見分けにくいのですか

ふだん見る顔から違いの見つけ方を学んでいるためです。見る機会が少ない顔では、その学習が足りなくなります。

この傾向は変えられますか

子ども時代に育つ環境が変わると入れ替わった研究があります。大人になってからどこまで変わるかは、まだよくわかっていません。

SOURCES

  1. Meissner, C. A., & Brigham, J. C. (2001). Thirty years of investigating the own-race bias in memory for faces: A meta-analytic review. Psychology, Public Policy, and Law, 7(1), 3-35. https://doi.org/10.1037/1076-8971.7.1.3
  2. Kelly, D. J., Quinn, P. C., Slater, A. M., Lee, K., Ge, L., & Pascalis, O. (2007). The Other-Race Effect Develops During Infancy. Psychological Science, 18(12), 1084-1089. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2007.02029.x
  3. Sangrigoli, S., Pallier, C., Argenti, A.-M., Ventureyra, V. A. G., & de Schonen, S. (2005). Reversibility of the Other-Race Effect in Face Recognition During Childhood. Psychological Science, 16(6), 440-444. https://doi.org/10.1111/j.0956-7976.2005.01554.x