Case file

記憶と目撃証言

子どもの証言はどこまで信頼できるか。決め手は年齢より「聞き方」だった

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Round and molded table top with a dividing stretcher running across the center; is raised on a plain column-like support sitting atop a mold
Photo: Unknown artistUnknown artist / Public domain / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

子どもが事件について話したとき、その言葉はどこまで信頼できるのでしょうか。「子どもは嘘をつかない」という見方も、「子どもの話はあてにならない」という見方もあります。研究は、そのどちらでもない答えを示しています。

SUMMARY

  1. 3〜6歳の176人の実験では、誘導する質問を繰り返し受けた子どもは、事実でない出来事を多く語った。誘導のない聞き取りを受けた子どもは正確だった。
  2. 子どもの暗示へのかかりやすさの研究をまとめた総説は、年齢による差は確かにあるが、幼い子どもも事件に関わる多くのことを思い出せると結論した。
  3. 構造化された聞き取りの手順(NICHDプロトコル)を使うと、開かれた質問は少なくとも3倍に増え、誘導的な質問は約半分に減った。

01どんな心の仕組みが働いているのか

子どもは、大人の質問の中にある「答えのヒント」に合わせてしまいやすいです。これを被暗示性(暗示にかかりやすさ)と呼びます。

特に6歳以下の子どもでは、「はい・いいえ」で答える質問や選択肢を示す質問の危うさが大きいとされます。質問の中に大人の思い込みが入ると、子どもの答えもそちらに引っぱられます。

研究者は、こうしたかかりやすさの要因を、認知・社会・生物学の3つのまとまりで整理しています。一方で、自由に話してもらう質問なら、幼い子どもでも多くを正しく語れます。

02研究でわかっていること

年齢による差はありますが、子どもの記憶そのものより、質問の仕方が証言の正確さを大きく左右します。

176人誘導の影響を調べた実験の3〜6歳児(1995年)
3倍以上手順を使った聞き取りで増えた開かれた質問
4万件超NICHDプロトコルが使われた聞き取り(2007年の総説時点)

Ceci・Bruck(1993)[1]

20世紀初めからの子どもの証言の研究を振り返った総説。暗示へのかかりやすさには、認知・社会・生物学の3つの要因があると整理した。年齢による差は確かにあるが、とても幼い子どもでも、事件に関わる多くのことを思い出せると結論した。

対象: 過去の研究 / 限界: 1993年時点のまとめで、その後の研究は含まない。

Leichtman・Ceci(1995)[2]

3〜6歳の176人が、見知らぬ男性が訪れる出来事を体験した。その後、何度も聞き取りを受けた。誘導のない子どもは正確に話した。男性について事前に悪い印象を与えると事実でない話が少し増え、誤った示唆を含む質問では大きく増えた。両方を受けた子どもは、事実でない話が特に多かった。年長の子どもほど影響は小さかった。

対象: 3〜6歳の幼児 / 限界: 実験の出来事は、実際の被害体験とは異なる。

Lambら(2007)[3]

NICHDプロトコル(米国の研究機関が作った子どもの聞き取り手順)の研究をまとめた総説。手順を使う聞き手は、使わない場合より開かれた質問が少なくとも3倍多く、誘導的な質問は約半分だった。未就学児でも、重要な情報の約半分と、最初の被害の打ち明けの8割超が、「話して」と促す自由な質問への答えから得られた。

対象: 実際の司法面接 / 限界: 手順を開発した研究者自身による総説。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「子どもの話はあてにならない」も「子どもは嘘をつかない」も単純すぎます。聞き方しだいで、どちらにもなりえます。

MYTH / 思い込み子どもは嘘をつかないから、話したことはすべて事実だ。
FACT / 研究では誘導する質問を繰り返すと、子どもは体験していない出来事を本当のように語ることがあります。
MYTH / 思い込み幼い子どもの証言は、あてにならない。
FACT / 研究では開かれた質問で聞けば、4歳ほどの子どもでも事件に関わる多くの情報を自分の言葉で話せます。
MYTH / 思い込み何度も聞けば、そのうち本当のことを話す。
FACT / 研究では誤った示唆を含む聞き取りを何度も重ねた実験では、事実でない話がかえって増えました。

04日常で生かせる視点

子どもの話を聞くときは「何があったの?全部話して」と開かれた質問から始め、答えを先に言わないことが大切です。

05よくある質問

子どもは大人より誘導されやすいのですか

研究では、年齢による差があり、特に未就学の子どもは暗示の影響を受けやすいとされます。ただし聞き方を工夫すれば多くを正しく話せます。

NICHDプロトコルとは何ですか

子どもへの司法面接のための構造化された手順です。開かれた質問をできるだけ使い、誘導的な質問は必要なときだけに限ります。

開かれた質問とは何ですか

「何があったか全部話して」のように、答えの内容を決めずに自由に話してもらう質問です。「はい・いいえ」で答える質問と対になります。

SOURCES

  1. Ceci, S. J., & Bruck, M. (1993). Suggestibility of the child witness: A historical review and synthesis. Psychological Bulletin, 113(3), 403-439. https://doi.org/10.1037/0033-2909.113.3.403
  2. Leichtman, M. D., & Ceci, S. J. (1995). The effects of stereotypes and suggestions on preschoolers' reports. Developmental Psychology, 31(4), 568-578. https://doi.org/10.1037/0012-1649.31.4.568
  3. Lamb, M. E., Orbach, Y., Hershkowitz, I., Esplin, P. W., & Horowitz, D. (2007). A structured forensic interview protocol improves the quality and informativeness of investigative interviews with children: A review of research using the NICHD Investigative Interview Protocol. Child Abuse & Neglect, 31(11-12), 1201-1231. https://doi.org/10.1016/j.chiabu.2007.03.021