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記憶と目撃証言

「自信がある証言」は正しいのか。最初の確信は当てになり、法廷での確信は当てにならない理由

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Here is an hdr photograph taken from the courtroom inside Beverley Guildhall.  Located in Beverley, East Riding of Yorkshire, England.
Photo: Michael D Beckwith / CC0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

「間違いありません、あの人です」。自信をもって語られる目撃証言は、強い説得力をもちます。けれども、自信をもった目撃者の誤りが、えん罪の原因になってきたこともわかっています。目撃者の自信は、正しさの目安になるのでしょうか。

SUMMARY

  1. 米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で、目撃者の自信のある誤った識別が関わっていた。
  2. 20の実験(2,400人超)をまとめたメタ分析では、面通しの後に「よくできました、容疑者を選びましたね」と伝えると、目撃者の確信は大きく高まった。
  3. 2017年の総説は、公正な面通しで最初に確信を記録した場合、確信と正確さは強く結びつき、高い確信の識別は非常に正確だとまとめた。

01どんな心の仕組みが働いているのか

目撃者の自信は、記憶そのものだけで決まるわけではありません。識別の後に聞いた言葉や、何度も証言するうちの思い込みによって、自信だけが後から強くなることがあります。

面通しとは、容疑者を含む複数の人の中から、目撃者に犯人を選んでもらう手続きです。選んだ直後に、どのくらい自信があるかを本人に聞くことができます。

しかし、識別の後に捜査員から「その人が容疑者です」と伝えられると、目撃者は「最初から自信があった」と感じやすくなります。その結果、法廷では、最初よりずっと強い確信が語られることがあります。

02研究でわかっていること

最初の識別の時点で、適切な手続きのもとで記録された確信は、正確さのよい目安になります。一方、後から強まった確信は当てになりません。

7割以上DNA鑑定で無実が判明した300件超のうち、自信のある誤った識別が関わった割合(米国)
20識別後の言葉が確信を変えることを調べた実験の数(2,400人超・2006年メタ分析)

WixtedとWells(2017)[1]

30年以上の目撃識別研究をもとに、確信と正確さの関係を見直した総説。公正な面通し、結果を知らない担当者による実施、識別直後の確信の記録など、手続きが適切な場合、模擬犯罪の実験でも警察の現場研究でも、確信と正確さは強く結びついていた。高い確信の識別は非常に正確だった。ただし、不公正な面通しなど条件が整わないと、高い確信の識別でも正確さは大きく損なわれる。

対象: 成人の目撃者の実験と現場研究 / 限界: 手続きの改革が進んでいない地域には、そのまま当てはめられない。

Wixtedら(2015)[2]

米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で、目撃者の自信のある誤った識別が関わっていた。そのため、法廷で語られる高い確信は割り引いて聞くべきだとされる。一方で、記憶が汚染される前の最初の識別で示された確信は、正確さの信頼できる目安になりうるとしている。

対象: 研究の総説 / 限界: 米国の事例と研究が中心。

DouglassとSteblay(2006)[3]

識別の後に伝える言葉の影響を調べた20の実験(2,400人超)をまとめたメタ分析。「よくできました、容疑者を選びましたね」と伝えると、振り返ったときの確信、よく見えていたという感覚、注意して見ていたという感覚が大きく高まった。結果を知らない担当者が実施すること、識別直後に証言を記録することを勧めている。

対象: 模擬的な目撃実験 / 限界: 実験室の研究で、実際の事件の目撃者ではない。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「自信のある証言は正しい」も、「自信は関係ない」も一面的です。大事なのは、いつ、どんな手続きで示された自信かです。

MYTH / 思い込み法廷で「間違いない」と言い切る証言は信頼できる。
FACT / 研究ではえん罪が判明した事例の7割以上で、自信のある誤った識別が関わっていました。後から強まった確信は当てになりません。
MYTH / 思い込み目撃者の自信は、正しさとまったく関係ない。
FACT / 研究では適切な面通しで最初に記録された高い確信は、非常に正確だとわかってきました。
MYTH / 思い込み自信は本人の記憶だけで決まる。
FACT / 研究では識別の後に「容疑者を選びましたね」と伝えるだけで、確信は大きく高まりました。

04日常で生かせる視点

証言の自信を聞いたら、「最初の識別のとき、どれくらい自信があったか」を確かめる視点が役立ちます。

05よくある質問

目撃者の自信は、正しさの目安になりますか

適切な面通しで、識別の直後に記録された確信は、正確さのよい目安になります。法廷で語られる確信は、後から強まっていることがあり、当てになりません。

なぜ自信が後から強まるのですか

識別の後に「容疑者を選びましたね」などと伝えられると、確信が大きく高まることが、20の実験のメタ分析で示されています。

誤った目撃識別は、えん罪にどのくらい関わっていますか

米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で自信のある誤った識別が関わっていました。

SOURCES

  1. Wixted, J. T., & Wells, G. L. (2017). The relationship between eyewitness confidence and identification accuracy: A new synthesis. Psychological Science in the Public Interest, 18(1), 10-65. https://doi.org/10.1177/1529100616686966
  2. Wixted, J. T., Mickes, L., Clark, S. E., Gronlund, S. D., & Roediger, H. L. (2015). Initial eyewitness confidence reliably predicts eyewitness identification accuracy. American Psychologist, 70(6), 515-526. https://doi.org/10.1037/a0039510
  3. Douglass, A. B., & Steblay, N. (2006). Memory distortion in eyewitnesses: a meta-analysis of the post-identification feedback effect. Applied Cognitive Psychology, 20(7), 859-869. https://doi.org/10.1002/acp.1237