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記憶と目撃証言「自信がある証言」は正しいのか。最初の確信は当てになり、法廷での確信は当てにならない理由

「間違いありません、あの人です」。自信をもって語られる目撃証言は、強い説得力をもちます。けれども、自信をもった目撃者の誤りが、えん罪の原因になってきたこともわかっています。目撃者の自信は、正しさの目安になるのでしょうか。
SUMMARY
- 米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で、目撃者の自信のある誤った識別が関わっていた。
- 20の実験(2,400人超)をまとめたメタ分析では、面通しの後に「よくできました、容疑者を選びましたね」と伝えると、目撃者の確信は大きく高まった。
- 2017年の総説は、公正な面通しで最初に確信を記録した場合、確信と正確さは強く結びつき、高い確信の識別は非常に正確だとまとめた。
01どんな心の仕組みが働いているのか
目撃者の自信は、記憶そのものだけで決まるわけではありません。識別の後に聞いた言葉や、何度も証言するうちの思い込みによって、自信だけが後から強くなることがあります。
面通しとは、容疑者を含む複数の人の中から、目撃者に犯人を選んでもらう手続きです。選んだ直後に、どのくらい自信があるかを本人に聞くことができます。
しかし、識別の後に捜査員から「その人が容疑者です」と伝えられると、目撃者は「最初から自信があった」と感じやすくなります。その結果、法廷では、最初よりずっと強い確信が語られることがあります。
02研究でわかっていること
最初の識別の時点で、適切な手続きのもとで記録された確信は、正確さのよい目安になります。一方、後から強まった確信は当てになりません。
WixtedとWells(2017)[1]
30年以上の目撃識別研究をもとに、確信と正確さの関係を見直した総説。公正な面通し、結果を知らない担当者による実施、識別直後の確信の記録など、手続きが適切な場合、模擬犯罪の実験でも警察の現場研究でも、確信と正確さは強く結びついていた。高い確信の識別は非常に正確だった。ただし、不公正な面通しなど条件が整わないと、高い確信の識別でも正確さは大きく損なわれる。
対象: 成人の目撃者の実験と現場研究 / 限界: 手続きの改革が進んでいない地域には、そのまま当てはめられない。
Wixtedら(2015)[2]
米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で、目撃者の自信のある誤った識別が関わっていた。そのため、法廷で語られる高い確信は割り引いて聞くべきだとされる。一方で、記憶が汚染される前の最初の識別で示された確信は、正確さの信頼できる目安になりうるとしている。
対象: 研究の総説 / 限界: 米国の事例と研究が中心。
DouglassとSteblay(2006)[3]
識別の後に伝える言葉の影響を調べた20の実験(2,400人超)をまとめたメタ分析。「よくできました、容疑者を選びましたね」と伝えると、振り返ったときの確信、よく見えていたという感覚、注意して見ていたという感覚が大きく高まった。結果を知らない担当者が実施すること、識別直後に証言を記録することを勧めている。
対象: 模擬的な目撃実験 / 限界: 実験室の研究で、実際の事件の目撃者ではない。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「自信のある証言は正しい」も、「自信は関係ない」も一面的です。大事なのは、いつ、どんな手続きで示された自信かです。
04日常で生かせる視点
証言の自信を聞いたら、「最初の識別のとき、どれくらい自信があったか」を確かめる視点が役立ちます。
- 報道で「目撃者は自信をもって証言した」と見たら、最初の識別のときの自信がどうだったかを考えてみる。
- 裁判員として証言を聞くときは、法廷での確信の強さより、最初の識別の手続きと、その場で記録された確信に注目する。
- 家族や友人の「絶対そうだった」という記憶も、何度も話すうちに確信だけが強まることがある、と心に留めておく。
05よくある質問
目撃者の自信は、正しさの目安になりますか
適切な面通しで、識別の直後に記録された確信は、正確さのよい目安になります。法廷で語られる確信は、後から強まっていることがあり、当てになりません。
なぜ自信が後から強まるのですか
識別の後に「容疑者を選びましたね」などと伝えられると、確信が大きく高まることが、20の実験のメタ分析で示されています。
誤った目撃識別は、えん罪にどのくらい関わっていますか
米国でDNA鑑定により無実が判明した300件を超える事例のうち、7割以上で自信のある誤った識別が関わっていました。
SOURCES
- Wixted, J. T., & Wells, G. L. (2017). The relationship between eyewitness confidence and identification accuracy: A new synthesis. Psychological Science in the Public Interest, 18(1), 10-65. https://doi.org/10.1177/1529100616686966
- Wixted, J. T., Mickes, L., Clark, S. E., Gronlund, S. D., & Roediger, H. L. (2015). Initial eyewitness confidence reliably predicts eyewitness identification accuracy. American Psychologist, 70(6), 515-526. https://doi.org/10.1037/a0039510
- Douglass, A. B., & Steblay, N. (2006). Memory distortion in eyewitnesses: a meta-analysis of the post-identification feedback effect. Applied Cognitive Psychology, 20(7), 859-869. https://doi.org/10.1002/acp.1237


