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集団と同調

集団の中で人は自分を見失うのか。「没個性化」60研究のメタ分析が示した別の答え

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I took these photos at the 2010 Carnevale in Venice in early February 2010. This is the second set of photos since the first one was getting
Photo: Frank Kovalchek from Anchorage, Alaska, USA / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

「群衆の中では、人は自分を見失い、ふだんならしないことをする」。暴動や集団での迷惑行為が起きると、よくこう説明されます。心理学では「没個性化」と呼ばれてきた考え方です。60の研究をまとめた分析は、これと違う姿を示しました。

SUMMARY

  1. 没個性化の研究60件をまとめたメタ分析では、集団や匿名の場で社会の規範を破る行動が増えるという証拠はほとんどなかった。
  2. 同じメタ分析で、匿名などの条件では、人はむしろその場の集団に特有のルールに強く従っていた。
  3. パソコン上の話し合いを使った2つの実験では、匿名のグループほど、示された行動の方向にメンバーがそろっていった。

01どんな心の仕組みが働いているのか

集団の中で人は「自分」を失うのではなく、「集団の一員としての自分」が前に出ます。その結果、その集団のルールに沿って動きやすくなります。

没個性化(集団の中で個人としての意識が薄れること)の理論は、群衆の中では自制がきかなくなり、規範を破りやすくなると考えてきました。実験では、匿名にする、自分への注意を減らす、集団を大きくするといった方法で調べられてきました。

これに対し、SIDEモデル(没個性化効果の社会的アイデンティティ・モデル)は別の説明をします。人は自分を「個人」としても「集団の一員」としても捉えます。匿名の集団の中では「集団の一員」の面が強まり、その集団の規範に従うようになる、という考えです。

02研究でわかっていること

集団や匿名の場で、人が理性を失って規範を破るという証拠は乏しいです。人はその場の集団のルールに合わせやすくなります。

60没個性化のメタ分析にまとめられた独立した研究の数(1998年)
2匿名と集団の影響を調べたパソコン上の話し合いの実験の数(2001年)

PostmesとSpears(1998)[1]

没個性化の研究60件をまとめたメタ分析。規範を破る行動が起きることも、「没個性化した状態」が存在することも、ほとんど支持されなかった。匿名などの条件では、集団も個人も、その場に特有の規範により強く従っていた。結果は没個性化理論ではなく、SIDEモデルを支持した。

対象: 60の独立した研究 / 限界: 多くは実験室の研究で、現実の群衆とは異なる。

Reicherら(1995)[2]

従来の没個性化の理論は、集団への埋没や匿名が自己を失わせ、行動の抑えがきかなくなると考えていた。著者らは、自己には個人としての自己と、集団の一員としての自己があると論じた。匿名の集団の中では、人は抑えを失うのではなく、集団としての考えを表しやすくなるとした。

対象: 既存研究の理論的な整理 / 限界: 新しいデータではなく、理論の提案である。

Postmesら(2001)[3]

パソコン上でグループに話し合いをさせる2つの実験を行った。効率重視か、思いやり重視かの行動の型を事前に示しておくと、匿名のグループではその型に沿った答えが出た。名前がわかるグループでは、そうならなかった。型を示されていないメンバーも、匿名のときだけ、示されたメンバーに合わせていった。

対象: 実験に参加したグループ / 限界: 実験室の課題で、現実のネット上の行動とは異なる。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「集団の中では誰もが理性を失う」は思い込みです。人はその場の集団のルールに従い、それが良い方向にも悪い方向にも働きます。

MYTH / 思い込み群衆の中では、人は理性を失って何をするかわからない。
FACT / 研究では60研究のメタ分析では、規範を破る行動が増える証拠はほとんどありませんでした。
MYTH / 思い込み匿名になると、人は必ず悪いことをする。
FACT / 研究では匿名のグループでは、示された行動の型に沿ってそろっていきました。思いやり重視の型も含まれます。

04日常で生かせる視点

集団の行動を見るときは「理性を失った」と考えるより、「その集団にどんなルールがあったか」を問うほうが実態に近づけます。

05よくある質問

没個性化とは何ですか

集団の中で個人としての意識が薄れ、ふだんの規範を破りやすくなるという考え方です。ただし、1998年のメタ分析では、この考えはほとんど支持されませんでした。

SIDEモデルとは何ですか

匿名の集団の中では「集団の一員としての自分」が強まり、その集団の規範に従いやすくなるという考え方です。

ネット上の匿名の書き込みにも当てはまりますか

パソコン上の話し合いの実験では、匿名のグループほど、集団の中の行動の型にそろっていきました。ただし実験室の結果で、現実のネットにそのまま当てはまるとは限りません。

SOURCES

  1. Postmes, T., & Spears, R. (1998). Deindividuation and antinormative behavior: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 123(3), 238-259. https://doi.org/10.1037/0033-2909.123.3.238
  2. Reicher, S. D., Spears, R., & Postmes, T. (1995). A Social Identity Model of Deindividuation Phenomena. European Review of Social Psychology, 6(1), 161-198. https://doi.org/10.1080/14792779443000049
  3. Postmes, T., Spears, R., Sakhel, K., & de Groot, D. (2001). Social Influence in Computer-Mediated Communication: The Effects of Anonymity on Group Behavior. Personality and Social Psychology Bulletin, 27(10), 1243-1254. https://doi.org/10.1177/01461672012710001