Case file

集団と同調

いじめを止めるのは誰か。見ている子の介入は2割弱、でもその半数以上でいじめが止まった

約3分で読めます

Mt. Pleasant, MI - An elementary school playground sits empty during the lunch hour - usually a beautiful spring day would be filled with th
Photo: Dan Gaken from Mt. Pleasant, MI, United States / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

いじめは、いじめる子といじめられる子の二人だけの問題でしょうか。研究者は、周りで見ている子どもたちの役割に注目してきました。見ている子が動くと何が起きるのか、学校での取り組みに効果はあるのかを、研究から見ていきます。

SUMMARY

  1. 校庭の観察研究では、いじめの88%の場面に周りの子がいた。割って入ったのは19%だったが、その57%でいじめが止まった。
  2. いじめ防止の取り組み12件(児童生徒12,874人)をまとめたメタ分析では、周りの子が止めに入る行動が増えていた。効果は高校生で大きかった。
  3. いじめ防止の取り組みの評価100件をまとめたメタ分析では、いじめる行動が約19〜20%、いじめられる被害が約15〜16%減っていた。

01どんな心の仕組みが働いているのか

いじめは集団の中で起きます。周りの子が笑ったり黙ったりすると続きやすく、止めに入ると止まりやすくなります。

いじめの場には、いじめる子と被害を受ける子のほかに、多くの子どもがいます。加勢する子、はやし立てる子、見て見ぬふりをする子、そして被害を受けた子を守る子です。守る子は「擁護者」と呼ばれます。

見ている子が何もしないと、いじめる側は「みんなが認めている」と受け取りやすくなります。逆に、誰かが止めに入れば、その場の空気が変わります。そのため研究者は、周りの子への働きかけを、いじめ対策の大事な柱と考えてきました。

02研究でわかっていること

見ている子が止めに入ることは多くありませんが、入れば半数以上で止まります。周りの子に向けた取り組みには、一定の効果が確かめられています。

88%いじめの場面に周りの子がいた割合(校庭の観察研究、2001年)
57%周りの子が割って入り、いじめが止まった割合(同)
約2割取り組みでいじめる行動が減った割合(評価100件のメタ分析、2019年)

Hawkinsら(2001)[1]

小学校の校庭で、いじめの場面を直接観察した。周りの子は88%の場面にいたが、割って入ったのは19%だった。割って入った場面の57%で、いじめは止まった。一方で、47%の場面では、止めに入った子自身も攻撃的なやり方をとっていた。

対象: 止めに入った1〜6年生58人 / 限界: 校庭の観察に限られ、教室やネット上のいじめは含まない。

Polaninら(2012)[2]

学校でのいじめ防止の取り組み12件(児童生徒12,874人)をまとめたメタ分析。取り組みによって、周りの子がいじめを止めに入る行動が増えていた。効果の大きさは高校生で0.43、幼稚園から中学2年生で0.14だった。一方、被害を受けた子への共感は、はっきりとは増えていなかった。

対象: 12の取り組みの評価 / 限界: 研究数が少なく、行動の多くは自己報告。

Gaffneyら(2019)[3]

以前のメタ分析の対象に、2009〜2016年に発表された研究を加えた、いじめ防止の取り組みの評価100件をまとめたメタ分析。取り組みによって、いじめる行動は約19〜20%、いじめられる被害は約15〜16%減っていた。ただし効果は研究ごとに大きくばらついていた。

対象: 学校での取り組みの評価100件 / 限界: 取り組みの中身や国によって効果に差がある。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「見ている子は関係ない」「子どもは止められない」は事実と違います。ただし、止めに入る子が攻撃的になる場面もあり、やり方が大切です。

MYTH / 思い込みいじめは、いじめる子と被害者の二人の問題だ。
FACT / 研究では観察研究では、88%の場面に周りの子がいました。いじめは集団の中で起きています。
MYTH / 思い込み子どもが止めに入っても、いじめは止まらない。
FACT / 研究では止めに入った場面の57%で、いじめは止まっていました。
MYTH / 思い込み思いやりを育てれば、自然に止めに入るようになる。
FACT / 研究ではメタ分析では、止めに入る行動は増えましたが、共感ははっきりとは増えていませんでした。

04日常で生かせる視点

いじめのニュースを見るときは、加害者と被害者だけでなく、周りにいた人の動きにも目を向けると、全体が見えやすくなります。

05よくある質問

いじめの傍観者とは誰のことですか

いじめの場にいて、止めも加勢もせずに見ている人のことです。研究では、見ている子の反応がいじめの続き方に関わると考えられています。

周りの子が止めに入ると、いじめは止まりますか

校庭の観察研究では、周りの子が割って入った場面の57%で、いじめが止まっていました。

いじめ防止の取り組みに効果はありますか

評価100件をまとめたメタ分析では、いじめる行動が約19〜20%、被害が約15〜16%減っていました。ただし効果には大きなばらつきがあります。

SOURCES

  1. Hawkins, D. L., Pepler, D. J., & Craig, W. M. (2001). Naturalistic Observations of Peer Interventions in Bullying. Social Development, 10(4), 512-527. https://doi.org/10.1111/1467-9507.00178
  2. Polanin, J. R., Espelage, D. L., & Pigott, T. D. (2012). A Meta-Analysis of School-Based Bullying Prevention Programs' Effects on Bystander Intervention Behavior. School Psychology Review, 41(1), 47-65. https://doi.org/10.1080/02796015.2012.12087375
  3. Gaffney, H., Ttofi, M. M., & Farrington, D. P. (2019). Evaluating the effectiveness of school-bullying prevention programs: An updated meta-analytical review. Aggression and Violent Behavior, 45, 111-133. https://doi.org/10.1016/j.avb.2018.07.001