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パーソナリティと犯罪

「精神疾患の人は危ない」は本当か。暴力犯罪の約95%は重い精神疾患のない人によるものだった

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Photo: jjes84 / CC BY 2.0 / Flickr
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

大きな事件が起きると、「犯人に精神科の通院歴があった」という話がよく注目されます。では、精神疾患のある人は本当に暴力をふるいやすいのでしょうか。研究からは、世間のイメージとはかなり違う姿が見えてきます。

SUMMARY

  1. スウェーデンの全国登録データでは、暴力犯罪のうち重い精神疾患の人によるものは5.2%で、約20件に1件だった。
  2. 統合失調症などと暴力の関係をまとめたメタ分析では、薬物などの乱用がない場合のオッズ比は2.1、乱用が重なる場合は8.9で、上乗せの多くは乱用と重なっていた。
  3. 精神疾患のある成人4,480人の調査では、暴力をふるった人は23.9%、暴力の被害にあった人は30.9%で、被害のほうが多かった。

01どんな心の仕組みが働いているのか

「精神疾患=危険」というイメージは、まれな事件の報道と、わかりやすい説明を求める心が合わさって生まれやすいものです。

人は、目立つ出来事ほど「よくあること」と感じやすいと考えられています。精神疾患と結びついた事件は大きく報じられやすく、そのぶん印象に残ります。

一方で、研究では、精神疾患と暴力の関連の多くが、お酒や薬物などの乱用と重なっていることがわかっています。精神疾患だけを取り出して原因とみなすと、こうした他の要因が見えなくなってしまいます。

02研究でわかっていること

重い精神疾患と暴力には統計上の関連はありますが、その多くは薬物などの乱用と重なっていました。社会全体の暴力に占める割合は小さいです。

5.2%スウェーデンの暴力犯罪のうち、重い精神疾患の人によるもの(13年間)
8.9統合失調症などに薬物などの乱用が重なる場合のオッズ比(乱用なしは2.1)
30.9%精神疾患のある成人のうち、6か月で暴力の被害にあった人(米国、4,480人)

Fazelら(2009)[1]

統合失調症などの精神病と暴力の関係を調べた20の研究(18,423人)をまとめた。精神疾患のない人と比べた暴力のオッズ比(起こりやすさの比)は、薬物などの乱用がない場合は2.1、乱用が重なる場合は8.9だった。研究者は、リスクの上乗せの多くは乱用と重なっていると結論づけている。

対象: 20の研究、18,423人 / 限界: 研究によって結果のばらつきが大きい。

Fazelら(2006)[2]

スウェーデンの全国登録データで、統合失調症などで入院した98,082人を犯罪記録とつないだ。13年間で人口1,000人あたり45件の暴力犯罪があり、そのうち重い精神疾患の人によるものは2.4件だった。割合にすると5.2%で、約20件に1件にあたる。

対象: スウェーデンの全国データ / 限界: 入院歴のある人に限られ、有罪判決の記録にもとづく。

Desmaraisら(2014)[3]

米国の5つの研究に参加した精神疾患のある成人4,480人を調べた。6か月の間に暴力をふるった人は23.9%、暴力の被害にあった人は30.9%だった。研究者は、精神疾患のある人は加害者よりも被害者になりやすいと述べている。

対象: 米国の成人4,480人 / 限界: 本人の回答にもとづく。治療を受けている人が中心。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「精神疾患の人が事件を起こしやすい」は、関わる要因の多さと、被害者になりやすさを見落とした考え方です。

MYTH / 思い込み暴力事件の多くは、精神疾患のある人が起こしている。
FACT / 研究ではスウェーデンの全国データでは、重い精神疾患の人による暴力犯罪は約5%でした。残りの約95%は、それ以外の人によるものです。
MYTH / 思い込み精神疾患そのものが暴力の原因になる。
FACT / 研究ではリスクの上乗せの多くは、薬物やお酒の乱用と重なっていました。病気だけで説明するのは単純すぎます。
MYTH / 思い込み精神疾患のある人は、周りにとって危険な存在だ。
FACT / 研究では精神疾患のある人は、暴力をふるう側よりも、被害にあう側になりやすいことがわかっています。

04日常で生かせる視点

事件の報道で通院歴が強調されたときこそ、「他にどんな要因があったか」を考えることが大切です。

05よくある質問

精神疾患のある人は暴力をふるいやすいのですか

重い精神疾患と暴力には統計上の関連があります。ただ、その多くは薬物などの乱用と重なっており、社会全体の暴力に占める割合は約5%でした。

なぜ精神疾患と事件が結びつけられやすいのですか

まれな事件ほど大きく報じられ、印象に残りやすいからです。研究では、関連の多くが薬物などの乱用と重なっていました。

精神疾患のある人は犯罪の被害にもあいやすいのですか

米国の4,480人の調査では、6か月で暴力の被害にあった人は30.9%で、暴力をふるった人の23.9%より多くなっていました。

SOURCES

  1. Fazel, S., Gulati, G., Linsell, L., Geddes, J. R., & Grann, M. (2009). Schizophrenia and Violence: Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS Medicine, 6(8), e1000120. https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1000120
  2. Fazel, S., & Grann, M. (2006). The Population Impact of Severe Mental Illness on Violent Crime. American Journal of Psychiatry, 163(8), 1397-1403. https://doi.org/10.1176/appi.ajp.163.8.1397
  3. Desmarais, S. L., Van Dorn, R. A., Johnson, K. L., Grimm, K. J., Douglas, K. S., & Swartz, M. S. (2014). Community Violence Perpetration and Victimization Among Adults With Mental Illnesses. American Journal of Public Health, 104(12), 2342-2349. https://doi.org/10.2105/AJPH.2013.301680