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なぜ人は罪を犯すのか

なぜ非行は10代でピークを迎え、大人になると減るのか。年齢と犯罪の曲線と「2つのタイプ」説の検証

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An empty hallway on the first floor of Lorain High School.
Photo: Matt Dempsey / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

万引きやけんかなどの非行は、なぜ10代に多いのでしょうか。年齢ごとに犯罪の数を並べると、10代に山があり、その後は下がっていく曲線になります。この「年齢と犯罪の曲線」を説明しようとした有名な理論と、その後の検証をまとめました。

SUMMARY

  1. Moffitt(1993)によると、反社会的な行動をする人の割合は、思春期に一時的に約10倍に増える。
  2. ニュージーランドの追跡調査では、思春期の非行の程度は同じでも、子ども期から問題があった男性のほうが26歳時点で暴力や薬物の問題を多く抱えていた。
  3. 1993〜2013年の実証研究61件を見直したレビューでは、思春期に始まる重い反社会的な行動も、思春期だけで終わることは少ないと指摘された。

01どんな心の仕組みが働いているのか

10代は大人に近づいているのに、大人としての役割はまだ得られません。この「成熟のずれ」が、一時的な非行を生むと考えられています。

反社会的な行動とは、ルールを破ったり、人を傷つけたりする行動のことです。Moffittは、非行をする若者には2つのタイプがいると考えました。1つは、子どものころから大人になるまで続く少数のタイプです。もう1つは、思春期だけに現れる多数派のタイプです。

思春期だけのタイプについて、Moffittは「成熟のずれ」で説明しました。大人に近づいても、大人の自由や役割はまだ手に入りません。そこで、大人っぽく見える仲間のふるまいをまねることがある、という考え方です。役割が手に入る年齢になると、多くは自然に収まるとされました。

02研究でわかっていること

長く続くタイプと思春期だけのタイプの違いは、ある程度確認されました。ただし、その差は「質」より「程度」の違いだという見方が強まっています。

約10倍思春期に反社会的な行動をする人の割合が一時的に増える倍率(Moffitt, 1993)
26歳ニュージーランドの男性を追跡して結果を比べた年齢(2002年報告)
61件2つのタイプ説を見直したレビューが調べた実証研究の数(1993〜2013年)

Moffitt(1993)[1]

反社会的な行動には、年齢を通じて続く面と、思春期に割合が約10倍に増える面がある。この2つの事実を説明するため、子どものころから続く少数のタイプと、思春期だけの多数のタイプに分ける理論を示した。

対象: それまでの研究をもとにした理論 / 限界: 新しいデータで確かめた研究ではない。

Moffittら(2002)[2]

ニュージーランドで生まれた子どもを追跡した研究で、思春期の非行の程度が同じだった男性を26歳で比べた。子ども期から問題があった人は、暴力や薬物の問題が最も多かった。思春期に始まった人は程度は軽いものの、心の健康やお金の問題、財産に関する犯罪がやや多かった。

対象: ニュージーランドの男性の出生コホート / 限界: 1つの国の男性のみ。

Fairchildら(2013)[3]

1993〜2013年の実証研究61件を見直した。長く続くタイプは、本人の弱さと環境の厳しさが重なって生じるという点は支持された。一方で、思春期に始まる重い反社会的な行動も、思春期だけで終わることは少なかった。2つのタイプの違いは程度の差だと結論づけた。

対象: 61件の実証研究 / 限界: 研究ごとに定義や対象が異なる。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「若いころの非行はみな一時的」も「非行少年はずっと変わらない」も、どちらも言いすぎです。

MYTH / 思い込み10代の非行は、大人になれば必ず消える。
FACT / 研究では多くは収まりますが、思春期に始まった人でも26歳時点で困りごとを抱えやすいことが示されました。
MYTH / 思い込み一度非行をした子は、ずっと犯罪を続ける。
FACT / 研究では思春期に反社会的な行動をする人は多く、その多くは長く続くタイプではないと考えられています。
MYTH / 思い込み長く続くタイプと思春期だけのタイプは、まったく別の人たちだ。
FACT / 研究では最近の見直しでは、2つの違いは質ではなく程度の差だという見方が出ています。

04日常で生かせる視点

年齢による変化を知ると、若者の非行を「本人の性格だけ」で説明しない見方ができます。

05よくある質問

年齢と犯罪の曲線とは何ですか

年齢ごとに犯罪をする人の割合を並べると、10代で山になり、その後下がっていく形のことです。

「思春期限定型」とはどういう意味ですか

Moffittの理論で、思春期だけに反社会的な行動が見られ、大人になると収まるタイプを指します。非行をする若者の多数派とされました。

この理論は今も正しいとされていますか

大筋は支持されていますが、2013年のレビューでは、2つのタイプの違いは程度の差であり、理論の見直しが必要だと指摘されています。

SOURCES

  1. Moffitt, T. E. (1993). Adolescence-limited and life-course-persistent antisocial behavior: A developmental taxonomy. Psychological Review, 100(4), 674-701. https://doi.org/10.1037/0033-295X.100.4.674
  2. Moffitt, T. E., Caspi, A., Harrington, H., & Milne, B. J. (2002). Males on the life-course-persistent and adolescence-limited antisocial pathways: Follow-up at age 26 years. Development and Psychopathology, 14(1), 179-207. https://doi.org/10.1017/S0954579402001104
  3. Fairchild, G., van Goozen, S. H. M., Calder, A. J., & Goodyer, I. M. (2013). Research Review: Evaluating and reformulating the developmental taxonomic theory of antisocial behaviour. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 54(9), 924-940. https://doi.org/10.1111/jcpp.12102