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なぜ人は罪を犯すのかなぜ非行は10代でピークを迎え、大人になると減るのか。年齢と犯罪の曲線と「2つのタイプ」説の検証

万引きやけんかなどの非行は、なぜ10代に多いのでしょうか。年齢ごとに犯罪の数を並べると、10代に山があり、その後は下がっていく曲線になります。この「年齢と犯罪の曲線」を説明しようとした有名な理論と、その後の検証をまとめました。
SUMMARY
- Moffitt(1993)によると、反社会的な行動をする人の割合は、思春期に一時的に約10倍に増える。
- ニュージーランドの追跡調査では、思春期の非行の程度は同じでも、子ども期から問題があった男性のほうが26歳時点で暴力や薬物の問題を多く抱えていた。
- 1993〜2013年の実証研究61件を見直したレビューでは、思春期に始まる重い反社会的な行動も、思春期だけで終わることは少ないと指摘された。
01どんな心の仕組みが働いているのか
10代は大人に近づいているのに、大人としての役割はまだ得られません。この「成熟のずれ」が、一時的な非行を生むと考えられています。
反社会的な行動とは、ルールを破ったり、人を傷つけたりする行動のことです。Moffittは、非行をする若者には2つのタイプがいると考えました。1つは、子どものころから大人になるまで続く少数のタイプです。もう1つは、思春期だけに現れる多数派のタイプです。
思春期だけのタイプについて、Moffittは「成熟のずれ」で説明しました。大人に近づいても、大人の自由や役割はまだ手に入りません。そこで、大人っぽく見える仲間のふるまいをまねることがある、という考え方です。役割が手に入る年齢になると、多くは自然に収まるとされました。
02研究でわかっていること
長く続くタイプと思春期だけのタイプの違いは、ある程度確認されました。ただし、その差は「質」より「程度」の違いだという見方が強まっています。
Moffitt(1993)[1]
反社会的な行動には、年齢を通じて続く面と、思春期に割合が約10倍に増える面がある。この2つの事実を説明するため、子どものころから続く少数のタイプと、思春期だけの多数のタイプに分ける理論を示した。
対象: それまでの研究をもとにした理論 / 限界: 新しいデータで確かめた研究ではない。
Moffittら(2002)[2]
ニュージーランドで生まれた子どもを追跡した研究で、思春期の非行の程度が同じだった男性を26歳で比べた。子ども期から問題があった人は、暴力や薬物の問題が最も多かった。思春期に始まった人は程度は軽いものの、心の健康やお金の問題、財産に関する犯罪がやや多かった。
対象: ニュージーランドの男性の出生コホート / 限界: 1つの国の男性のみ。
Fairchildら(2013)[3]
1993〜2013年の実証研究61件を見直した。長く続くタイプは、本人の弱さと環境の厳しさが重なって生じるという点は支持された。一方で、思春期に始まる重い反社会的な行動も、思春期だけで終わることは少なかった。2つのタイプの違いは程度の差だと結論づけた。
対象: 61件の実証研究 / 限界: 研究ごとに定義や対象が異なる。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「若いころの非行はみな一時的」も「非行少年はずっと変わらない」も、どちらも言いすぎです。
04日常で生かせる視点
年齢による変化を知ると、若者の非行を「本人の性格だけ」で説明しない見方ができます。
- 少年事件のニュースでは、年齢によって犯罪の起きやすさが大きく変わることを思い出す。
- 裁判員として若い被告の話を聞くときは、その行動が一時的なものか、子どものころから続くものかという視点を持つ。
- 身近な10代の問題行動は、責めるだけでなく、役割や居場所が足りていないサインかもしれないと考えてみる。
05よくある質問
年齢と犯罪の曲線とは何ですか
年齢ごとに犯罪をする人の割合を並べると、10代で山になり、その後下がっていく形のことです。
「思春期限定型」とはどういう意味ですか
Moffittの理論で、思春期だけに反社会的な行動が見られ、大人になると収まるタイプを指します。非行をする若者の多数派とされました。
この理論は今も正しいとされていますか
大筋は支持されていますが、2013年のレビューでは、2つのタイプの違いは程度の差であり、理論の見直しが必要だと指摘されています。
SOURCES
- Moffitt, T. E. (1993). Adolescence-limited and life-course-persistent antisocial behavior: A developmental taxonomy. Psychological Review, 100(4), 674-701. https://doi.org/10.1037/0033-295X.100.4.674
- Moffitt, T. E., Caspi, A., Harrington, H., & Milne, B. J. (2002). Males on the life-course-persistent and adolescence-limited antisocial pathways: Follow-up at age 26 years. Development and Psychopathology, 14(1), 179-207. https://doi.org/10.1017/S0954579402001104
- Fairchild, G., van Goozen, S. H. M., Calder, A. J., & Goodyer, I. M. (2013). Research Review: Evaluating and reformulating the developmental taxonomic theory of antisocial behaviour. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 54(9), 924-940. https://doi.org/10.1111/jcpp.12102


