なぜ人は罪を犯すのか
動機、衝動性、環境、機会。人を犯罪に向かわせる要因を研究から見る

子どものころの鉛が犯罪を増やしたのか。「鉛と犯罪」仮説を24件の研究で確かめると
鉛は犯罪を増やす方向に働くが、効果は過大に報告されてきた。米国の殺人の減少のうち鉛で説明できるのは7〜28%にとどまる。

子ども時代のつらい経験は非行につながるのか。逆境1つごとに約35%高まるリスクと、運命ではない理由
子ども時代の逆境が多いほど、非行や司法との関わりは増える。少年2万人超の研究では逆境1つごとにリスクが約35%上がった。ただし確率の話である。

貧困や格差は犯罪を増やすのか。34研究の97%が示した関連と、「どの犯罪か」で変わる答え
貧困・格差と暴力犯罪の相関は、34研究の97%でプラスだった。ただし格差が効くのは暴力犯罪で、財産犯罪には格差より貧困が関わっていた。

なぜ非行は10代でピークを迎え、大人になると減るのか。年齢と犯罪の曲線と「2つのタイプ」説の検証
反社会的な行動をする人の割合は思春期に約10倍に増え、多くは大人になると収まる。ただ「思春期だけ」の人も、その後に困りごとを抱えやすいことがわかってきた。

暴力的なゲームは犯罪を増やすのか。メタ分析どうしの論争と「攻撃性」と「犯罪」の違い
暴力的なゲームと攻撃性の関係は、あっても小さい。2万人規模の追跡研究のまとめでは相関はr=0.059。犯罪を直接測った研究は少ない。

暮らしが豊かになったのに、なぜ犯罪は増えたのか。日常の行動パターンから犯罪を説明するルーティン・アクティビティ理論
犯罪は「罪を犯す人の性質」だけでは説明できない。人の動き方が変わると犯罪の機会が変わり、外出制限下では都市の犯罪が平均37%減った。

若者は仲間がいると無茶をしやすいのか。306人の実験と、脳の「ごほうび回路」
同年代の仲間がそばにいるだけで、10代はリスクの高い選択をしやすくなる。脳の報酬系の反応が関わり、共犯も若いほど多い。

人はどうやって自分の悪い行いを正当化するのか。「道徳的離脱」の8つの仕組みと、27研究が示した攻撃との関係
「仕方なかった」「相手が悪い」と良心のブレーキを外す道徳的離脱。子ども1万7千人超のまとめでは攻撃との相関はr = .28、ただし多くは相関の研究だった。

「我慢できない人」が罪を犯すのか。セルフコントロール理論を99件の研究で確かめると
自制心の低さは犯罪や逸脱行動とはっきり関係している。99件の研究の相関はr=0.35〜0.42。ただし他の要因も働いている。

ルール違反は「うつる」のか。落書きが別の違反を誘う実験と、198研究が示した割れ窓理論の過大評価
他人の違反を見ると、別のルールまで破りやすくなる。逆に秩序のサインは親切を増やす。ただし割れ窓理論の支持は過大評価との分析もある。

人はなぜ「ちょっとだけ」ズルをするのか。正直者のズルの理論と、25か所の追試で消えた「十戒の効果」
人は「正直な自分」を保てる範囲で少しだけズルをすると考えられている。ただし道徳を思い出すとズルが減るという有名な結果は、大規模な追試で再現されなかった。