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なぜ人は罪を犯すのか若者は仲間がいると無茶をしやすいのか。306人の実験と、脳の「ごほうび回路」

「一人ならしないのに、仲間といるとやってしまう」。10代の無茶な行動について、よく聞く話です。実験室では、仲間がそばにいるだけで若者の選択が変わることが確かめられています。その仕組みと、実際の犯罪との関係を見ていきます。
SUMMARY
- 13〜16歳・18〜22歳・24歳以上の306人の実験では、同年代2人と一緒のときのほうが、一人のときよりリスクの高い選択が増えた。
- 仲間の影響は、13〜16歳と18〜22歳で、24歳以上の大人より強かった。
- 英国の大規模な分析では、検挙された犯罪のうち複数人による犯罪は少数派だった。複数人での犯罪は年齢が上がるほど減っていた。
01どんな心の仕組みが働いているのか
10代は、仲間に見られていると「得られるかもしれないごほうび」に脳が強く反応します。それが危険な選択を後押しすると考えられています。
リスクを取るとは、失敗すると損をするかもしれないのに、得を狙って行動することです。10代は大人と比べてリスクを取りやすいことが知られてきました。では、仲間の存在はそこにどう関わるのでしょうか。
研究者は、仲間が具体的に何かを勧めなくても、ただそこにいるだけで影響があるかどうかを確かめました。さらに、脳の働きを測る装置を使い、仲間に見られているときの脳の反応も調べました。
02研究でわかっていること
仲間がいるだけで、10代はリスクの高い選択をしやすくなります。脳の報酬系の反応がその一因と考えられています。
Gardner と Steinberg(2005)[1]
13〜16歳、18〜22歳、24歳以上の306人に、質問紙とリスクを取るゲームに取り組んでもらった。一人で行うか、同年代2人と一緒に行うかをランダムに決めた。仲間と一緒のときはリスクを多く取り、危険の損より得に目が向いた。この影響は大人より10代と若者で強かった。
対象: 306人 / 限界: 実験室の課題で、実際の犯罪を測ったものではない。
Cheinら(2011)[2]
10代・若者・大人に、運転をまねたゲームをしてもらい、脳の働きを測った。隣の部屋の仲間に見られているとき、10代だけ、ごほうびに反応する脳の部分(腹側線条体など)が強く働いた。その働きは、その後のリスクの高い選択を予測した。
対象: 3つの年齢層 / 限界: 脳画像の研究で、模擬課題での結果。
van Mastrigt と Farrington(2009)[3]
英国で複数人による犯罪(共犯)を大規模に分析した。検挙された犯罪のうち、複数人によるものは少数派だった。共犯は年齢が上がるほど減り、女性で多く、強盗や侵入盗で最も多かった。
対象: 英国の検挙記録 / 限界: 警察が把握した犯罪に限られる。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「若者の犯罪はほとんど集団でやるもの」とは言えません。ただ、若いほど仲間と一緒の犯罪が多い傾向はあります。
04日常で生かせる視点
「その場に誰がいたか」に目を向けると、若者の行動を一人の性格だけで判断しない見方ができます。
- 若者が集団で起こした事件のニュースでは、一人ならしなかった可能性も考えてみる。
- 裁判員として共犯事件を考えるときは、仲間の存在がその場の判断にどう影響したかという視点を持つ。
- 身近な10代には、仲間といるときに判断が変わりやすいと、責めずに伝えておく。
05よくある質問
仲間がいるだけで、本当に行動が変わるのですか
306人の実験では、同年代2人がそばにいるだけで、一人のときよりリスクの高い選択が増えました。特に10代と若者で強い影響がありました。
脳ではどんなことが起きているのですか
2011年の研究では、仲間に見られている10代で、ごほうびに反応する脳の部分が強く働き、その後の危険な選択を予測しました。
実際の犯罪でも、若者は集団でやることが多いのですか
英国の分析では、複数人による犯罪は全体では少数派でしたが、年齢が若いほど多い傾向がありました。
SOURCES
- Gardner, M., & Steinberg, L. (2005). Peer Influence on Risk Taking, Risk Preference, and Risky Decision Making in Adolescence and Adulthood: An Experimental Study. Developmental Psychology, 41(4), 625-635. https://doi.org/10.1037/0012-1649.41.4.625
- Chein, J., Albert, D., O'Brien, L., Uckert, K., & Steinberg, L. (2011). Peers increase adolescent risk taking by enhancing activity in the brain's reward circuitry. Developmental Science, 14(2), F1-10. https://doi.org/10.1111/j.1467-7687.2010.01035.x
- van Mastrigt, S. B., & Farrington, D. P. (2009). Co-Offending, Age, Gender and Crime Type: Implications for Criminal Justice Policy. British Journal of Criminology, 49(4), 552-573. https://doi.org/10.1093/bjc/azp021


