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集団と同調

人は命令されれば誰でも残酷になるのか。ミルグラムの服従実験と、その後の再現・再解釈

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Close-up view of a vintage device's control panel featuring toggle switches labeled on and standby, alongside a red indicator light, showcas
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

「人は権威に命じられれば、誰でも他人を傷つけてしまう」。この考えは、1960年代のミルグラムの服従実験とともに広まりました。では、この実験は本当にそれを示したのでしょうか。その後の再現実験と、結果の読み直しを紹介します。

SUMMARY

  1. 1963年の服従実験では、参加者40人のうち26人が、装置の最大の電気ショックまで指示に従った(実際には電気は流れていない)。
  2. 2009年の部分的な再現実験では、70人が参加し、基本条件の70%が150ボルトを超えて続けようとした。元の実験の対応条件は82.5%で、統計的な差はなかった。
  3. 2014年の研究では、「研究のために必要だ」と目的に訴える促しほど続けさせる力が強く、「命令」に近い促しほど効果が弱かった。

01どんな心の仕組みが働いているのか

人は「正しい目的のためだ」と信じた相手に協力し、その指示に沿って行動しやすくなります。ただの命令への機械的な服従とは限りません。

ミルグラムの実験では、参加者は「学習の研究」の先生役を任されました。生徒役が間違えるたびに、電気ショックの強さを上げるよう指示されます。生徒役は実は協力者で、電気は流れていませんでした。

結果は「普通の人も権威に従って他人を傷つける」証拠として広まりました。一方で近年、社会的アイデンティティ(自分をある集団の一員と感じること)の研究者は別の読み方を示しています。参加者は科学という目的に共感し、実験者の側に立ったから続けた、という見方です。

02研究でわかっていること

高い服従率は再現されています。一方で、続けるかどうかを左右したのは命令の強さより、目的への共感だったと考えられています。

26/40人1963年の服従実験で最大の電気ショックまで進んだ人数
70%2009年の再現実験で150ボルトを超えて続けようとした割合
82.5%元の実験の対応条件で150ボルトを超えた割合

Milgram(1963)[1]

参加者に、生徒役への電気ショックを段階的に強めるよう指示した。40人中26人が最後まで従い、最大の電気ショックを与えた。残る14人は、生徒役が抗議した後のどこかで中止した。一部の参加者は強い緊張を示し、汗や震えがみられた。

対象: 参加者40人 / 限界: 実験の倫理面に強い批判があり、同じ形では再実施できない。

Burger(2009)[2]

参加者の負担を抑えるため、生徒役が初めて抗議する150ボルトで実験を止める形で再現した。元の実験では、ここを超えた人の79%が最後まで進んでいた。基本条件では70%が150ボルトを超えて続けようとし、元の82.5%と統計的な差はなかった。拒否する人を見せても、服従の割合は63.3%で大きく変わらなかった。

対象: 米国の成人70人(2006年実施) / 限界: 150ボルトで中止したため、最後まで進んだかは推定にとどまる。

Haslamら(2014)[3]

服従実験に似た課題で、続けるよう促す言葉の種類を変えた。「科学の目的に必要だ」と訴える促しほど、参加者は続けて最後までやり遂げた。逆に、命令に近い促しほど続ける人は減った。研究者は、従うのは命令そのものではなく、目的に積極的に関わろうとするためだと考えている。

対象: 実験参加者 / 限界: 電気ショックではなく、否定的な言葉で集団を描写する別の課題を使っている。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「命令されれば誰でも従う」は言いすぎです。命令に近い言葉ほど効きにくく、従う理由は目的への共感にあるとみられます。

MYTH / 思い込み人は権威の命令には逆らえない。
FACT / 研究では命令に近い促しほど、続ける人は少なくなりました。続けさせる力が強かったのは「研究のために必要だ」という言葉でした。
MYTH / 思い込み昔の人だから従っただけで、今は違う。
FACT / 研究では2009年の再現でも70%が150ボルトを超えて続けようとし、元の実験と統計的な差はありませんでした。
MYTH / 思い込み参加者は何も感じずに従っていた。
FACT / 研究では1963年の実験では、一部の参加者が汗や震えなど強い緊張を見せていました。

04日常で生かせる視点

「この目的のためなら」と思ったときこそ、その行動を一度立ち止まって見直す価値があります。

05よくある質問

ミルグラムの服従実験とは何ですか

1960年代に行われた実験です。参加者が指示に従って、他人に強い電気ショックを与え続けるかを調べました。実際には電気は流れていませんでした。

今やっても同じ結果になりますか

2009年の部分的な再現では、70%が150ボルトを超えて続けようとしました。元の実験の82.5%と統計的な差はありませんでした。

なぜ人は従ってしまうのですか

近年の研究では、命令への服従より、実験の目的に共感して協力したためと考えられています。命令に近い言葉ほど、かえって効きにくいことがわかっています。

SOURCES

  1. Milgram, S. (1963). Behavioral Study of obedience. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 67(4), 371-378. https://doi.org/10.1037/h0040525
  2. Burger, J. M. (2009). Replicating Milgram: Would people still obey today? American Psychologist, 64(1), 1-11. https://doi.org/10.1037/a0010932
  3. Haslam, S. A., Reicher, S. D., & Birney, M. E. (2014). Nothing by Mere Authority: Evidence that in an Experimental Analogue of the Milgram Paradigm Participants are Motivated not by Orders but by Appeals to Science. Journal of Social Issues, 70(3), 473-488. https://doi.org/10.1111/josi.12072