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なぜ人は罪を犯すのか

貧困や格差は犯罪を増やすのか。34研究の97%が示した関連と、「どの犯罪か」で変わる答え

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Fort Point
Photo: dalecruse / CC BY 2.0 / Flickr
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

「貧しい人が多い地域ほど犯罪が多い」と聞くことがあります。では、貧困や格差は本当に犯罪を増やすのでしょうか。研究を見ると、関連ははっきりある一方で、犯罪の種類や「貧困」と「格差」の違いによって、答えがかなり変わることがわかってきました。

SUMMARY

  1. 34の地域データ研究をまとめたメタ分析では、貧困・格差と暴力犯罪の相関76個のうち97%がプラスで、約8割は中程度以上の強さだった。
  2. 米国の都市部の郡を調べた研究では、格差は暴力犯罪と強く結びつき、格差が10%大きいと暴力犯罪は5%以上多かった。一方、財産犯罪とは関連がなかった。
  3. 39か国の1965〜95年のデータでは、格差の大きい国ほど殺人や強盗が多く、他の要因を考えに入れても、格差が犯罪を増やす方向の関係が残った。

01どんな心の仕組みが働いているのか

貧困と格差は別のものです。暮らしの苦しさだけでなく、「周りとの差」が不満や地域のつながりの弱さを通じて、暴力に結びつくと考えられています。

犯罪学では、お金のために罪を犯すという「損得の計算」の説明と、周りとの差から生まれる不満や緊張(ストレイン)の説明が、昔から比べられてきました。地域の人どうしのつながりが弱まると、もめごとを抑える力が落ちるという「社会解体」の考え方もあります。

ここで大事なのは、「貧困」と「格差」を分けて考えることです。貧困は暮らしに必要なものが足りない状態です。格差は、同じ社会の中で豊かな人と貧しい人の差が大きい状態です。研究では、この2つが別々の犯罪と結びつくことがわかってきました。

02研究でわかっていること

貧困・格差と暴力犯罪の関連は多くの研究で確認されています。ただし強さは研究によってばらつき、犯罪の種類で関係も変わります。

97%貧困・格差と暴力犯罪の相関のうちプラスだった割合(34研究・76個、1993年のメタ分析)
0.5超米国都市部の郡で、格差が1%大きいときの暴力犯罪の増え方(%、2000年)
39か国格差と殺人の関係を調べた国の数(1965〜95年)

Hsiehら(1993)[1]

地域単位のデータを使った34の研究を、メタ分析(多くの研究をまとめて分析する方法)で統合した。貧困・格差と暴力犯罪の相関76個のうち、2個を除く97%がプラスだった。プラスの相関の約8割は中程度以上の強さだった。殺人や暴行は、強盗や性犯罪より強く関連していた。

対象: 34の地域データ研究 / 限界: 相関の分析で、関連の強さは研究ごとに大きくばらついた。

Kelly(2000)[2]

米国の都市部の郡のデータで、格差と犯罪の関係を調べた。格差は財産犯罪には影響が見られなかった。一方で暴力犯罪とは強く結びつき、格差が1%大きいと暴力犯罪は0.5%以上多かった。逆に、貧困や警察の活動は財産犯罪と関係し、暴力犯罪とはあまり関係しなかった。

対象: 米国の都市部の郡 / 限界: 1つの国の地域データで、個人の行動を直接見たものではない。

Fajnzylberら(2002)[3]

殺人は39か国(1965〜95年)、強盗は37か国(1970〜94年)のデータを5年ごとに平均して分析した。格差の指標(ジニ係数)が大きい国ほど、殺人や強盗が多かった。他の犯罪要因や測定の誤差を考えに入れても、格差から犯罪へ向かう関係が残った。

対象: 30か国台の国際パネルデータ / 限界: 国ごとの犯罪統計の質の違いが残る。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「貧しい人が罪を犯す」という理解は単純すぎます。研究が示すのは地域や社会の単位での関連で、個人を決めつける根拠ではありません。

MYTH / 思い込み貧しい人ほど罪を犯しやすい。
FACT / 研究では研究の多くは地域や国の単位の統計です。地域全体の傾向から、一人ひとりの行動を決めることはできません。
MYTH / 思い込みお金に困ると、盗みが増えるだけだ。
FACT / 研究では米国の研究では、格差が強く結びついたのは盗みではなく暴力犯罪でした。財産犯罪には、格差より貧困が関わっていました。
MYTH / 思い込み貧困と格差は同じ問題だ。
FACT / 研究では2つは別のものです。貧困は財産犯罪、格差は暴力犯罪と、結びつく犯罪が違うという結果が出ています。

04日常で生かせる視点

犯罪を個人の性格だけでなく、社会の状態の映し鏡としても見ると、ニュースの受け止め方が変わります。

05よくある質問

貧困と格差は、どちらが犯罪と関係しますか

どちらも関係します。米国の研究では、格差は暴力犯罪と、貧困は財産犯罪と結びつく傾向が見られました。

格差が犯罪を「生む」と言えますか

39か国のデータで、他の要因を考えに入れても格差から犯罪への関係が残りました。ただし統計による推定で、実験で確かめたものではありません。

わかっていないことは何ですか

研究の多くは地域や国単位の分析です。なぜ格差が暴力につながるのか、その心の仕組みを個人のレベルで確かめた研究はまだ多くありません。

SOURCES

  1. Hsieh, C.-C., & Pugh, M. D. (1993). Poverty, Income Inequality, and Violent Crime: A Meta-Analysis of Recent Aggregate Data Studies. Criminal Justice Review, 18(2), 182-202. https://doi.org/10.1177/073401689301800203
  2. Kelly, M. (2000). Inequality and Crime. Review of Economics and Statistics, 82(4), 530-539. https://doi.org/10.1162/003465300559028
  3. Fajnzylber, P., Lederman, D., & Loayza, N. (2002). Inequality and Violent Crime. The Journal of Law and Economics, 45(1), 1-39. https://doi.org/10.1086/338347