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パーソナリティと犯罪ダークトライアドとは何か。「3つの悪い性格」は職場の問題行動とどう関係するのか

「ダークトライアド」という言葉を、心理学の本やネット記事で見かけることが増えました。「闇の3特性」とも訳されるこの言葉は、どんな性格のことで、本当に問題行動と関係があるのでしょうか。始まりの研究と、その後のメタ分析を見ていきます。
SUMMARY
- 2002年に大学生245人を調べた研究で、自己愛・マキャベリズム・サイコパス傾向の3つは、互いに.25〜.50の正の相関を持つが、同じものではないと示された。
- 245サンプル・4万3,907人をまとめた2012年のメタ分析では、3つの特性はいずれも、職場での非生産的な行動(問題行動)の増加と結びついていた。
- 2017年のメタ分析の総説は、ダークトライアドの研究の多くが一時点の自己報告に頼っており、測り方が単純すぎると指摘した。
01どんな心の仕組みが働いているのか
ダークトライアドとは、病気ではない範囲の「人を傷つけやすい性格」のうち、自己愛・マキャベリズム・サイコパス傾向の3つをまとめた呼び名です。
自己愛(ナルシシズム)は、自分を大きく見せたい、特別扱いされたいという傾向です。マキャベリズムは、目的のために人を冷静に操ろうとする傾向で、政治思想家マキャベリの名前に由来します。サイコパス傾向は、冷淡さと衝動性が組み合わさった傾向です。
3つに共通するのは、人への思いやりや協調性の低さです。ここで扱うのは、一般の人の中での性格の程度の差で、臨床的な診断とは違います。
02研究でわかっていること
3つの特性は重なり合いますが、別々の特徴も持っています。そして3つとも、職場の問題行動と関係していました。
PaulhusとWilliams(2002)[1]
大学生245人に3つの特性の標準的な質問紙と、さまざまな検査を行った。3つの相関はすべて正で.25〜.50だったが、同じものとは言えなかった。性格の5つの因子(ビッグファイブ)のうち、3つに共通したのは協調性の低さだけだった。サイコパス傾向だけが不安の低さと結びついていた。
対象: 大学生245人 / 限界: 学生の自己報告が中心。
O'Boyleら(2012)[2]
1951年から2011年に発表された245の独立サンプル(4万3,907人)をまとめた。マキャベリズムとサイコパス傾向が高いほど仕事の質は下がっていた。職場での問題行動は、3つの特性すべてで増えていた。ただし、その強さは立場の権限や文化によって変わった。
対象: 働く人などのサンプル / 限界: 職場の問題行動で、犯罪そのものを調べたものではない。
Murisら(2017)[3]
ダークトライアドの研究をまとめたメタ分析の総説。3つの特性は強く関係し合い、女性より男性でやや多く、協調性や正直さ・謙虚さの低さと主に結びついていた。さまざまな好ましくない心理・社会的な結果とも関係していた。一方で、3つを別々に扱えるほど区別できるか疑問だとし、多くの研究が一時点の自己報告に頼っていることを課題に挙げた。
対象: 既存研究 / 限界: もとになった研究の多くが自己報告の横断研究。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
ダークトライアドは「悪人を見分ける診断名」ではありません。一般の人の性格の程度を表す研究上の言葉です。
04日常で生かせる視点
性格のラベルより、具体的な行動に注目することが、ニュースを読むときも人間関係でも役立ちます。
- 「ダークトライアド診断」などのネット記事は、研究用の質問紙とは別物だと考え、結果で人を決めつけない。
- 裁判員として人柄の話を聞くときも、性格の印象と、実際に何をしたかという事実を分けて考える。
- 職場で困った行動に出会ったら、相手の性格を言い当てるより、行動を記録し、ルールや相談窓口で対応する。
05よくある質問
ダークトライアドとは何ですか
自己愛(ナルシシズム)、マキャベリズム、サイコパス傾向の3つの性格特性をまとめた呼び名です。2002年のPaulhusとWilliamsの論文をきっかけに広まりました。
ダークトライアドは問題行動と関係しますか
245サンプル・4万3,907人のメタ分析では、3つの特性すべてが職場での問題行動の増加と結びついていました。ただし強さは立場や文化によって変わりました。
ダークトライアドの研究に弱点はありますか
あります。多くが一時点の自己報告に頼っていること、3つを別々に扱えるほど区別できるか疑問があることが、2017年の総説で指摘されています。
SOURCES
- Paulhus, D. L., & Williams, K. M. (2002). The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy. Journal of Research in Personality, 36(6), 556-563. https://doi.org/10.1016/S0092-6566(02)00505-6
- O'Boyle, E. H., Forsyth, D. R., Banks, G. C., & McDaniel, M. A. (2012). A meta-analysis of the Dark Triad and work behavior: A social exchange perspective. Journal of Applied Psychology, 97(3), 557-579. https://doi.org/10.1037/a0025679
- Muris, P., Merckelbach, H., Otgaar, H., & Meijer, E. (2017). The Malevolent Side of Human Nature: A Meta-Analysis and Critical Review of the Literature on the Dark Triad of Narcissism, Machiavellianism, and Psychopathy. Perspectives on Psychological Science, 12(2), 183-204. https://doi.org/10.1177/1745691616666070


