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集団と同調人はなぜ周りに合わせるのか。アッシュの同調実験と、133研究・2023年の再現が示したこと

答えがはっきりしている問題でも、周りの全員が違う答えを言ったら、あなたは自分の答えを言えるでしょうか。1950年代のアッシュの同調実験は、この問いを調べました。その後の再現実験や、多くの研究をまとめた分析からわかったことを紹介します。
SUMMARY
- 2023年にスイスで行われた再現実験(210人)では、線の長さを比べる課題で、周りに合わせた誤答の割合が33%だった。正解にお金を払う条件でも25%残った。
- 17か国の133研究をまとめたメタ分析では、米国の研究で同調の強さが1950年代以降下がっていた。
- 同じメタ分析で、集団のつながりを重んじる文化の国ほど、同調が強い傾向があった。
01どんな心の仕組みが働いているのか
人は、周りの判断を手がかりにしたり、集団から浮くのを避けたりするため、自分の考えを周りに合わせることがあります。これが同調です。
アッシュの実験では、参加者は数人のグループで、基準の線と同じ長さの線を選びます。実は参加者以外は協力者で、わざと全員が同じ間違った答えを言います。
答えは一目でわかるのに、参加者は周りに合わせて間違えることがありました。2023年の論文によると、アッシュの参加者は平均すると約3分の1が集団の圧力に影響されていました。残りの人は、多くの場合、協力者の答えに関係なく正しく答えていました。
02研究でわかっていること
同調は今も再現される一方で、その強さは時代や文化、状況によって変わることがわかっています。
BondとSmith(1996)[1]
アッシュ型の線の長さの課題を使った研究を集め、17か国の133研究を分析したメタ分析。米国の研究では、同調の強さは1950年代以降下がっていた。また、集団主義(集団のつながりを重んじる考え方)が強い国ほど、個人主義の国より同調が強い傾向があった。
対象: 17か国の133研究 / 限界: 国ごとの文化の指標は大まかで、一人ひとりの性格を示すものではない。
FranzenとMader(2023)[2]
スイスで、協力者5人と参加者1人のグループでアッシュの実験を再現した(210人)。線の長さの課題で周りに合わせた誤答は33%で、元の結果とよく似ていた。正解にお金を払うと25%に下がったが、なくならなかった。政治的な意見では38%が周りに合わせた。性格の特徴は、開放性を除き、同調のしやすさとはっきり関係しなかった。
対象: スイスの参加者210人 / 限界: 1つの国での実験で、結果がほかの地域にも当てはまるかは未確認。
森と新井(2010)[3]
日本の大学生104人を対象に、協力者を使わずにアッシュ型の実験を行った。偏光サングラスで、1人だけに違う長さの線が見えるようにした。少数派になった女性は多数派に合わせたが、男性は合わせなかった。アッシュの結果と違い、多数派の答えが全員一致かどうかで同調の頻度はほとんど変わらなかった。
対象: 日本の大学生104人(男性40人、女性64人) / 限界: 4人の同性グループで行い、結果は一つの研究にとどまる。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「人はいつでも周りに流される」も「今の人は流されない」も言いすぎです。同調は今も起きますが、その強さは条件で変わります。
04日常で生かせる視点
自分も周りに合わせることがあると知っておくと、大事な場面で自分の判断をもう一度確かめるきっかけになります。
- 多くの人が同じ意見を言うニュースやSNSの投稿を見たとき、それが自分で確かめた情報かどうかを見直す。
- 裁判員として評議に参加するとき、多数の意見が出る前に、自分の考えをメモしておく。
- 会議や話し合いでは、少数の意見が言いやすいよう、先に一人ずつ意見を書いてもらう方法を試す。
05よくある質問
同調とは何ですか
周りの人の判断や行動に合わせて、自分の考えや行動を変えることです。アッシュの実験では、答えが明らかな課題でも同調がみられました。
日本人は同調しやすいのですか
133研究のメタ分析では、集団のつながりを重んじる文化の国ほど同調が強い傾向がありました。ただし国単位の傾向で、一人ひとりがどうかを示すものではありません。
お金がかかれば周りに流されませんか
2023年の再現では、正解にお金を払うと誤答は33%から25%に下がりましたが、なくなりはしませんでした。
SOURCES
- Bond, R., & Smith, P. B. (1996). Culture and conformity: A meta-analysis of studies using Asch's (1952b, 1956) line judgment task. Psychological Bulletin, 119(1), 111-137. https://doi.org/10.1037/0033-2909.119.1.111
- Franzen, A., & Mader, S. (2023). The power of social influence: A replication and extension of the Asch experiment. PLOS ONE, 18(11), e0294325. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0294325
- Mori, K., & Arai, M. (2010). No need to fake it: Reproduction of the Asch experiment without confederates. International Journal of Psychology, 45(5), 390-397. https://doi.org/10.1080/00207591003774485


