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取り調べと冤罪DNA鑑定で晴れた冤罪から何がわかったか。誤った有罪を支えた4種類の証拠

有罪判決を受けた人が、のちのDNA鑑定で無実だったとわかることがあります。こうした例は、裁判のどこで誤りが起きたのかを後から確かめられる貴重な記録です。米国の研究者たちは、その記録をさかのぼって調べました。
SUMMARY
- DNA鑑定で無実が証明された人の裁判を調べた研究では、有罪を支えた主な証拠は、誤った目撃証言、法科学の証拠、情報提供者の証言、虚偽の自白だった。
- 法科学の専門家が証言した137件の裁判記録のうち、82件(60%)で、科学的に根拠のない証言が行われていた。
- 無実が証明される前の上訴で判決が覆った率は14%で、同じ種類の強姦・殺人事件の一般的な率と区別できなかった。
01どんな心の仕組みが働いているのか
誤った有罪は、一人の悪意より、確からしく見える証拠が重なることで起きやすいと考えられています。
目撃者の記憶、専門家の鑑定、本人の自白は、どれも裁判で強い説得力を持ちます。けれども、どれも人の判断や記憶に支えられており、誤りが入りこむ余地があります。
DNA鑑定による無実の証明は、「答え」が後からわかった珍しい記録です。そのため研究者は、誤りの原因を具体的にたどることができました。
02研究でわかっていること
誤りは複数の証拠にまたがり、裁判の後の上訴や再審査でも見逃されやすいことがわかっています。
Garrett(2008)[1]
DNA鑑定で無実が証明された人について、最初の裁判から上訴、無実の証明までをたどった実証研究。有罪を支えた主な証拠は、誤った目撃証言、法科学の証拠、情報提供者の証言、虚偽の自白だった。上訴で無実を主張した人は少なく、認められた例はほとんどなかった。判決が覆った率は14%で、同じ種類の事件の一般的な率と区別できなかった。
対象: 米国のDNA鑑定による雪冤者 / 限界: 強姦・殺人事件が中心で、すべての冤罪を代表しない。
Garrett・Neufeld(2009)[2]
DNA鑑定で無実が証明された156人のうち、検察側の法科学の分析者が証言した137件の裁判記録を調べた。82件(60%)で、科学的に根拠のない証言が行われていた。証言した分析者は72人、所属は25州の52の機関にわたった。弁護側が反対尋問をしたり、独自の専門家を立てたりすることはまれだった。
対象: 137件の裁判記録 / 限界: 法学誌の論文で、記録が残った裁判に限られる。
Kassinら(2010)[3]
DNA鑑定による無実の証明で、人が自分のしていない罪を自白することがあると明らかになった。この報告は、虚偽の自白が起きやすい条件を整理した。本人の側では、未成年であることや知的障害など。取り調べの側では、長すぎる取り調べ、うその証拠を示すこと、罪を軽く見せることが挙げられた。取り調べ全体の録画を強く勧めている。
対象: 研究と法制度のまとめ / 限界: 米国の取り調べを中心にした総説。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「やっていないなら自白しない」「専門家の鑑定なら確か」は思い込みです。どちらも誤った有罪の原因になってきました。
04日常で生かせる視点
一つひとつは確からしく見える証拠も、それぞれに誤りの入り口があると知っておくことが大切です。
- ニュースで「自白」や「鑑定で一致」と聞いたら、それがどんな条件で得られたかに目を向ける。
- 裁判員になったら、取り調べが録画されていたか、鑑定の根拠が説明されているかを確かめる。
- 身近なもめごとでも、一つの決め手だけで相手を決めつけず、別の説明がないか考える。
05よくある質問
DNA鑑定で冤罪がわかるのはどんな場合ですか
事件の証拠が保管されていて、後からDNA鑑定ができる場合です。研究でも、比較の対象は強姦・殺人事件でした。
冤罪の主な原因は何ですか
米国の研究では、誤った目撃証言、法科学の証拠、情報提供者の証言、虚偽の自白が主な要因として挙げられています。
日本でも同じことが言えますか
今回の研究は米国のものです。日本の冤罪の原因を同じ方法で数えた研究は、ここでは確認できていません。制度が違うため、そのまま当てはめることはできません。
SOURCES
- Garrett, B. L. (2008). Judging Innocence. Columbia Law Review, 108, 55-142. https://scholarship.law.duke.edu/faculty_scholarship/3863
- Garrett, B. L., & Neufeld, P. J. (2009). Invalid Forensic Science Testimony and Wrongful Convictions. Virginia Law Review, 95(1), 1-97. https://scholarship.law.duke.edu/faculty_scholarship/3861
- Kassin, S. M., Drizin, S. A., Grisso, T., Gudjonsson, G. H., Leo, R. A., & Redlich, A. D. (2010). Police-induced confessions: Risk factors and recommendations. Law and Human Behavior, 34(1), 3-38. https://doi.org/10.1007/s10979-009-9188-6


