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刑罰と更生刑務所に入ると再犯は減るのか。社会内の処分と比べた研究と、出所2年以内の再入率13.8%

「一度刑務所に入れば、懲りて二度とやらないはずだ」。多くの人がそう考えます。では実際に、刑務所に入ることは、その人の再犯を減らすのでしょうか。罰金や保護観察など、刑務所に入らない処分と比べた研究から見ていきます。
SUMMARY
- 刑務所に入ることの再犯への影響を調べた研究のレビューでは、社会内の処分と比べて、効果はゼロか、わずかに再犯を増やす方向だった。
- 質の高い14研究(ランダム化実験3件と自然実験2件を含む)をまとめたシステマティックレビューでも、刑務所が社会内の処分より再犯を減らすという結果は出なかった。
- 日本では、2023年に刑務所を出た人の2年以内の再入率は13.8%だった。仮釈放の人は9.6%、満期で出た人は20.8%だった。
01どんな心の仕組みが働いているのか
刑務所はつらい経験なので懲りる、という見方があります。一方で、仕事や家族とのつながりが切れ、犯罪に近い人間関係が深まる面もあります。
刑務所に入れることで再犯が減るという考えは、「罰がつらいほど、人は学ぶ」という前提に立っています。これを特別抑止と呼びます。罰を受けた本人が、次の犯罪を思いとどまるという意味です。
一方で犯罪学者は、刑務所が「社会的な経験」でもあると指摘してきました。服役中に仕事や家族とのつながりが切れたり、前科の烙印を負ったりすると、出所後の生活が難しくなります。この二つの力のどちらが強いかが、研究の焦点です。
02研究でわかっていること
刑務所が社会内の処分より再犯を減らすという証拠は乏しく、効果はゼロか、わずかに増やす方向と考えられています。ただし研究の数と質には限りがあります。
Naginら(2009)[1]
刑務所に入ることが再犯に与える影響の研究をまとめたレビュー。社会内の処分と比べ、刑務所はゼロか、わずかに犯罪を増やす方向の影響を示していた。ただし著者らは、この結論は政策を一般に決められるほど確かではないと述べている。それでも、刑務所に強い特別抑止の効果があるという主張には疑問を投げかけた。
対象: 既存の研究 / 限界: 研究の数・質が限られ、なぜそうなるかの説明も十分でない。
Villettazら(2015)[2]
刑務所と、社会奉仕や罰金、執行猶予などの社会内の処分を比べた研究を集めたキャンベル共同計画のレビュー。質の高い14研究を見つけた。多くの研究では社会内の処分の方が再犯は少なかったが、それは比較のゆるい研究に多かった。ランダム化実験など5件をまとめた分析では、はっきりした差はなかった。
対象: 1961〜2013年の研究 / 限界: 追跡は2年以内が多く、服役中の犯罪防止の効果は含まない。
法務省(2025)[3]
2023年に刑務所を出た人の2年以内再入率は13.8%で、2年以内に再び入所した人は2,228人だった。仮釈放の人の再入率は9.6%、満期で出た人は20.8%だった。どの年も満期で出た人の方が高い。
対象: 日本の出所受刑者 / 限界: 仮釈放は審査を経て選ばれるため、差は仮釈放そのものの効果とは言えない。
03よくある思い込みと、研究が示す実際
「刑務所に入れれば懲りて再犯は減る」という考えは、研究で裏付けられていません。社会内の処分と比べて、はっきり有利とは言えないのです。
04日常で生かせる視点
再犯のニュースを見るときは「刑務所に入っていたのに」ではなく「出所後の生活はどうだったか」に目を向けると、見え方が変わります。
- 再犯率の数字を見たら、比べている集団がもともと同じ条件かを確かめる。
- 裁判員として実刑か執行猶予かを考えるときは、刑務所に入ることが再犯を減らすとは限らないと知っておく。
- 出所した人が身近にいるとき、仕事や人とのつながりが再出発の支えになることを思い出す。
05よくある質問
刑務所に入ると再犯は減りますか
研究のレビューでは、社会内の処分と比べて、再犯を減らす効果は確認されていません。ゼロか、わずかに増やす方向と考えられています。
日本の再入率はどのくらいですか
法務省によると、2023年に刑務所を出た人の2年以内再入率は13.8%でした。
なぜ刑務所が再犯を増やすことがあるのですか
服役で仕事や家族とのつながりが切れたり、前科の烙印を負ったりして、出所後の生活が難しくなるためと考えられています。
SOURCES
- Nagin, D. S., Cullen, F. T., & Jonson, C. L. (2009). Imprisonment and Reoffending. Crime and Justice, 38(1), 115-200. https://doi.org/10.1086/599202
- Villettaz, P., Gillieron, G., & Killias, M. (2015). The Effects on Re-offending of Custodial vs. Non-custodial Sanctions: An Updated Systematic Review of the State of Knowledge. Campbell Systematic Reviews: Better Evidence for a Better World, 11(1). https://doi.org/10.4073/csr.2015.1
- 法務省 (2025). 令和7年版 再犯防止推進白書 第2節4 出所受刑者の2年以内再入者数及び2年以内再入率. https://www.moj.go.jp/hisho/saihanboushi/r07/html/ns124000.html


