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刑罰と更生

「怖い刑務所見学」は非行を防ぐのか。9つの実験が示した、何もしないより悪い結果

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Philadelphia County Prison (Moyamensing Prison) Philadelphia PA. First Floor Corridor in Cell Block. From LOC Historic American Buildings Su
Photo: Library of Congress / Public domain / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

非行に走りそうな少年を刑務所に連れて行き、受刑者から厳しい話を聞かせる。「一度怖い思いをすれば、道を外れなくなる」という発想の取り組みは、米国で「スケアード・ストレート」と呼ばれ広まりました。この取り組みは本当に非行を防ぐのでしょうか。

SUMMARY

  1. スケアード・ストレートなどの取り組みを調べた9つのランダム化実験(946人)では、その後の非行を減らす効果は見られなかった。
  2. 再非行率を報告した7つの研究をまとめると、取り組みを受けた少年の方が、受けなかった少年より再非行の見込みが有意に高かった。
  3. こうした取り組みは、2003年の時点で少なくとも6か国で試されていた。研究者は、善意の取り組みでも害になりうるので、厳密な評価が必要だと訴えている。

01どんな心の仕組みが働いているのか

恐怖で行動を変えようとしても、うまくいかないことがあります。怖がらせる取り組みは、狙いとは逆に非行を増やすこともありました。

スケアード・ストレートは、非行少年や非行に走りそうな子どもに刑務所を見学させ、受刑者と話をさせる取り組みです。刑務所の暮らしのつらさを直接見せて、犯罪を思いとどまらせることを狙っています。

なぜ逆効果になるのか、理由ははっきりわかっていません。ただ、「効いているはずだ」「害はないはずだ」という思い込みのまま、効果が確かめられずに広がったことを、研究者は問題にしてきました。

02研究でわかっていること

ランダム化実験をまとめると、効果はなく、何もしないより再非行が増えていました。ただし、対立的でない形の取り組みには、可能性があるという見方もあります。

9件スケアード・ストレート型の取り組みを調べたランダム化実験の数
946人9つの実験に参加した少年・若者の数(14〜20歳)
6か国以上2003年までにこうした取り組みが試された国の数

Petrosinoら(2003)[1]

刑務所見学型の取り組みについて、効果を調べたランダム化実験を幅広く探し、9件を見つけた。再非行の割合をまとめたメタ分析では、取り組みは平均して、何もしないより少年に害があった。こうした取り組みは、少なくとも6か国で試されていた。

対象: 9つのランダム化実験 / 限界: 実験の数が9件と少ない。

Petrosinoら(2013)[2]

キャンベル共同計画によるレビューの更新版。米国で行われた9つの実験(14〜20歳、計946人)を調べた。どの研究も非行を減らす効果を示さなかった。再非行率を報告した7つの研究の分析では、取り組みを受けた側の再非行の見込みが有意に高かった。

対象: 非行少年と、非行に走りそうな子ども / 限界: 主に警察などの公式記録で、本人の申告は十分に使えていない。

Klenowskiら(2010)[3]

米国の少年向けの刑務所見学型の取り組みの研究を、研究方法の質を評価する尺度を使って見直した。受刑者が少年を怒鳴ったり脅したりする対立的なやり方は、効果がないと結論した。一方、対立的でないやり方には、いくらか可能性があるとした。

対象: 米国の取り組みの研究 / 限界: レビューで、対立的でない形の効果は確かめられていない。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

「一度怖い思いをさせれば立ち直る」は、実験で否定された考えです。善意の取り組みでも、確かめないと逆効果になることがあります。

MYTH / 思い込み刑務所の怖さを見せれば、少年は非行をやめる。
FACT / 研究では9つのランダム化実験では効果がなく、むしろ再非行が増えていました。
MYTH / 思い込み効かなくても、害はないのだから続けてよい。
FACT / 研究ではレビューは、取り組みを受けた側の再非行の見込みが有意に高いと示しました。
MYTH / 思い込み受けた人が「目が覚めた」と言っているから効果がある。
FACT / 研究では感想と実際の行動は別です。効果は、比べる相手のいる実験で確かめる必要があります。

04日常で生かせる視点

「厳しく怖がらせれば変わる」という話を聞いたら、「比べる相手のいる研究で確かめられたか」を問う習慣が役立ちます。

05よくある質問

スケアード・ストレートとは何ですか

非行少年や非行に走りそうな子どもに刑務所を見学させ、受刑者と接して刑務所の厳しさを見せることで、犯罪を思いとどまらせようとする取り組みです。

スケアード・ストレートは非行を減らしますか

9つのランダム化実験をまとめたレビューでは、効果はなく、何もしないより再非行が増えていました。

なぜ逆効果になるのですか

理由ははっきりわかっていません。研究者は、思い込みで広めるのではなく、厳密に評価することが大切だと指摘しています。

SOURCES

  1. Petrosino, A., Turpin-Petrosino, C., & Buehler, J. (2003). Scared Straight and Other Juvenile Awareness Programs for Preventing Juvenile Delinquency: A Systematic Review of the Randomized Experimental Evidence. The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science, 589(1), 41-62. https://doi.org/10.1177/0002716203254693
  2. Petrosino, A., Turpin-Petrosino, C., Hollis-Peel, M. E., & Lavenberg, J. G. (2013). Scared Straight and Other Juvenile Awareness Programs for Preventing Juvenile Delinquency: A Systematic Review. Campbell Systematic Reviews: Better Evidence for a Better World, 9(1). https://doi.org/10.4073/csr.2013.5
  3. Klenowski, P. M., Bell, K. J., & Dodson, K. D. (2010). An Empirical Evaluation of Juvenile Awareness Programs in the United States: Can Juveniles be “Scared Straight”? Journal of Offender Rehabilitation, 49(4), 254-272. https://doi.org/10.1080/10509671003716068