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集団と同調

話し合えば意見はまとまって穏やかになるのか。集団極性化と、模擬陪審で判断が極端になった実験

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1751 Rue Richardson, Montréal, Canada
Photo: Breather breather / CC0 / Wikimedia Commons
AI RESEARCH公開された研究と公的統計をAIが調べて整理しました。実在の事件を興味本位で扱わず、犯罪の手口の詳細は書きません(出典は末尾)。

何人かで話し合えば、偏った意見はならされて、穏やかな結論に落ち着く。そう考える人は多いでしょう。ところが心理学では、話し合いのあとに意見がかえって極端になる現象が、数多く確かめられてきました。裁判の評議にも関わるこの現象を見ていきます。

SUMMARY

  1. 模擬陪審の実験では、8件の交通事件のうち話し合った事件だけ、判断が極端になった。有罪らしい事件はより厳しく、無罪らしい事件はより寛大になった。
  2. 考えの近い人どうしの話し合いの実験では、話し合いのあと意見がより極端になり、グループ内の意見の幅も狭まった。匿名で書いた意見でも同じだった。
  3. 1986年のメタ分析では、他の人の意見を知るだけの効果がr=.44、説得力のある論拠を聞く効果がr=.75と報告されている。

01どんな心の仕組みが働いているのか

話し合いでは、多数派の方向の論拠をたくさん聞き、周りの意見の位置も知ります。この二つが重なり、意見はもとの方向へ強まります。

これを「集団極性化」と呼びます。極性化とは、意見が両端のどちらかへ寄っていくことです。グループがもともと少し慎重なら、より慎重に。少し厳しければ、より厳しくなります。

理由は二つ考えられています。一つは、多数派の方向の論拠が多く出て、新しい理由を聞くうちに確信が強まること。もう一つは、周りの意見を知り、「自分も同じか、少し先を行きたい」と位置を調整することです。

02研究でわかっていること

集団極性化は多くの実験で確かめられ、模擬陪審でも起きました。論拠の影響と、他の人の意見を知る影響の両方が働いています。

r=.75説得力のある論拠を聞くことの効果の大きさ(1986年のメタ分析)
r=.44他の人の意見を知るだけの効果の大きさ(同)
8件模擬陪審の実験で判断を求めた交通事件の数(1976年)

MyersとKaplan(1976)[1]

参加者は8件の架空の交通事件について判断し、その半分を小グループで話し合ってから、もう一度判断した。有罪らしい事件を話し合うと、より有罪寄りで刑も重くなった。無罪らしい事件を話し合うと、より無罪寄りで刑も軽くなった。話し合わなかった事件では、この変化は見られなかった。

対象: 模擬陪審の実験参加者 / 限界: 架空の事件で、実際の陪審や裁判員裁判とは異なる。

Schkadeら(2010)[2]

政治的な考えが近い人どうしで話し合う実験を、リベラル派と保守派でそれぞれ行った。どちらも話し合いのあと意見が極端になり、グループ内の意見の幅は狭まった。匿名で書いた個人の意見も、極端で似通ったものになった。

対象: 考えの近い市民のグループ / 限界: 政治的な話題での実験で、刑事裁判の評議ではない。

SieberとZiegler(2019)[3]

これまでの研究を整理し、1986年のメタ分析の結果を紹介した。他の人の意見を知るだけの効果はr=.44、説得力のある論拠の効果はr=.75だった。さらに学生を対象に3つの実験(147人、163人、80人)を行い、考える余裕や意欲が少ないときは周りの意見の影響が、多いときは論拠の影響が強まることを示した。

対象: ドイツの大学生 / 限界: 学生の実験室研究。

03よくある思い込みと、研究が示す実際

話し合いは意見をならす働きばかりではありません。考えの近い人どうしだと、かえって極端になりやすいのです。

MYTH / 思い込み話し合えば、意見は真ん中に落ち着く。
FACT / 研究では実験では、話し合いのあとに意見がもとの方向へ強まることが多く確かめられています。
MYTH / 思い込み人前で合わせているだけで、本心は変わらない。
FACT / 研究では匿名で書いた個人の意見でも、話し合いのあとはより極端になっていました。
MYTH / 思い込み陪審の話し合いは、判断を慎重にするだけだ。
FACT / 研究では模擬陪審では、有罪らしい事件はより厳しく、無罪らしい事件はより寛大になりました。

04日常で生かせる視点

話し合いで結論が強まったときは、「新しい根拠が出たのか、周りに合わせただけか」を一度ふり返ると、極端さに気づきやすくなります。

05よくある質問

集団極性化とは何ですか

グループで話し合ったあと、メンバーの意見が、もとの傾向と同じ方向へより極端になる現象です。

なぜ話し合うと意見が極端になるのですか

多数派の方向の論拠を多く聞くことと、周りの意見を知って自分の位置を調整することの、二つが働くと考えられています。

裁判の評議でも起きますか

模擬陪審の実験では、話し合った事件だけ判断が極端になりました。ただし実際の裁判員裁判で同じ大きさで起きるかは、はっきりしていません。

SOURCES

  1. Myers, D. G., & Kaplan, M. F. (1976). Group-Induced Polarization in Simulated Juries. Personality and Social Psychology Bulletin, 2(1), 63-66. https://doi.org/10.1177/014616727600200114
  2. Schkade, D., Sunstein, C. R., & Hastie, R. (2010). WHEN DELIBERATION PRODUCES EXTREMISM. Critical Review, 22(2-3), 227-252. https://doi.org/10.1080/08913811.2010.508634
  3. Sieber, J., & Ziegler, R. (2019). Group Polarization Revisited: A Processing Effort Account. Personality and Social Psychology Bulletin, 45(10), 1482-1498. https://doi.org/10.1177/0146167219833389